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第64回日本聴覚医学会総会・学術講演会

会長挨拶

近畿大学医学部耳鼻咽喉科学講座 教授
土井 勝美

 第64回日本聴覚医学会総会・学術講演会を私ども近畿大学耳鼻咽喉科学講座で担当させていただくことになりました。ご高配を賜りました学会役員諸氏に厚く御礼を申し上げます。日本聴覚医学会会長の大役は、私自身にとってまさに夢の舞台になります。歴代学会長の末席に加えていただけましたことは本当に光栄の極みです。深く感謝申し上げます。本学会を近畿大学が担当させていただくのは、第26回大会(太田 文彦会長、1981年)以来で38年振りとなります。

 第64回日本聴覚医学会総会・学術講演会の主題は、主題1として「感音難聴への挑戦―人工聴覚器から再生医療まで」、主題2として「聴覚の分子機構―有毛細胞から聴覚中枢まで」を採択させていただきました。いずれの主題も、「聴覚医学の過去・現在」を検証した上で、「聴覚医学の未来」を予見するための大会になればと願い、選定いたしました。ScienceおよびTechnologyの進歩は日進月歩、いつの時代も新たに開発された最先端の医療・科学技術が臨床の現場へ新規治療法として導入されてきました。それらの最新治療の有効性と安全性について、科学的・論理的に丁寧に検証を行う作業もあわせて継続されてきました。感音難聴と耳鳴を主要な研究テーマの一つとする聴覚医学の領域においても、過去から現在まで、それぞれの時代において常に新たなる挑戦が続けられてきました。主題1では、人工聴覚器、遺伝子治療や再生医療など感音難聴に対する新たなる挑戦について科学的な検証を加え、「聴覚医学と基礎医学の融合、未来医療の展開」について議論する良い機会になればと願っています。一方で、1990年代に入り分子生物学的研究手法が導入され、聴覚医学研究においても大きなbreakthroughがもたらされました。有毛細胞から蝸牛神経、蝸牛神経核から下丘、1次聴覚野からさらに上位の聴覚中枢まで、膨大な量の新しい知見が加えられ、同時に、電気生理学的研究手法、形態学的研究手法にもそれぞれ大きな進化がありました。これらの研究成果を系統的・総合的に昇華させる形で、有毛細胞から聴覚中枢に至る聴覚分子機構の解明が進み、さらに、その成果は臨床の現場にフィードバックされ、新たな聴覚機能検査や画像検査の発展につながりました。主題2では、有毛細胞から聴覚中枢まで、聴覚の分子機構に関する新たな知見を検証し、「聴覚医学と基礎医学の融合、未来医療の展開」について議論する良い機会になればと願っています。

 本学会では、主題1と主題2に沿って、「感音難聴・伝音難聴への挑戦」「聴覚の分子機構」の2つのテーマでシンポジウム(領域講習)を企画し、また「難聴・補聴器と認知症―聴覚医学および政策の視点から―」(領域講習)、「ICTがもたらす未来の医療の姿」(共通講習)の2つのテーマで特別講演を頂戴することにいたしました。さらに、「小児人工内耳のリハビリテーション」「難聴と認知症に関する臨床研究の最近の話題」「聴覚障害児者に対する支援について」「新しい聴覚検査」「耳鳴に対する認知行動療法」の5つのテーマで教育セミナー(領域講習)を開催します。いずれのプログラムでも、それぞれの領域の第一人者の先生にご司会をお願いし、各テーマのスペシャリストからご講演を頂戴します。座長と演者の先生、さらには会場にご参集の先生との濃厚なご討議を通して、各テーマの現状と未来像について十分に掘り下げていただき、「聴覚医学の未来」を予見・予知する学術講演会になることを心より願っています。

 また、本学会では初めての企画として、言語聴覚士の皆さんを主たる対象とするプログラムとして、パネルディスカッション「聴覚障害に関わる言語聴覚士の将来展望」を開催いたします。4名の言語聴覚士の先生にパネリストに入っていただき、「聴覚医学」の領域における耳鼻咽喉科医師と言語聴覚士の連携、言語聴覚士との協働により構築される「未来の聴覚医療」についてお考えいただく良い機会になればと願っています。他に、ランチョンセミナー(6題)およびモーニングセミナー(1題)でも、国内外の講師の先生による素晴らしいご講演が予定されています。お楽しみいただければ幸いに存じます。例年通り、第42回補聴研究会(領域講習)、第67回聴覚生理研究会(領域講習)、そして第11回難聴遺伝子の研究会は、学会初日(11月7日)の学会プログラム終了後に、それぞれ第1会場、第2会場、第3会場で2時間の予定で開催いたします。

 学会場は大阪国際会議場10階の全フロアを使用し、第1会場(530席)、第2会場(360席)、第3会場(250席)、第4会場(160席)を準備いたしました。展示会場(400m2)も広く設定いたしました。ゆったりとした空間の中でお寛ぎいただきながら、学会プログラムをお楽しみください。学会前日の役員会、各種委員会、そして代議員懇親会は、大阪国際会議場に隣接するリーガロイヤルホテル大阪を使用して開催します。

 学会会期の11月初旬の大阪は一年で最も気候が安定し、紅葉をまさに迎えようとする穏やかな秋麗をお楽しみいただけると思います。学会ポスターに散りばめさせていただいた、京都、奈良、神戸の紅葉の名所・旧跡を、お時間を見つけてぜひお訪ねください。もちろん、大阪最大の観光スポット大阪城や道頓堀など、見どころ満載の大阪観光も存分にお楽しみください。同時に、11月は秋の美味の探索にも最適の季節です。粉もん屋さんから北新地のミシュランの名店まで、数多くのグルメ処が皆さまのお越しをお待ち申し上げています。第64回日本聴覚医学会総会・学術講演会のプログラムとあわせて、大阪の魅力を十分にご堪能いただければ幸いに存じます。第64回日本聴覚医学会総会・学術講演会への皆さまのお越しを、心よりお待ち申し上げております。

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